グランフェイス 大熊一幸氏 インタビュー

グランフェイス:LEX-デザインオフィス東京
代表・デザインディレクター

大熊 一幸 (おおくま かずゆき) 様

1993年セキスイエクステリア株式会社入社。
住宅メーカーのエクステリア担当として数多くの物件に携わり、The Season事業へ異動したその後もデザインを取り入れた多彩な表現で作品を生み出す(約1500棟)。
2009年 TheSeasonデザインオフィス赤坂 デザインディレクター就任。
2012年独立。エクステリア&ガーデンデザイン設計事務所として「グランフェイス/LEX-DesignOffice東京」として活動開始し現在に至る。

「トップランナーに訊く」第3回目は、多くのエクステリアを手掛けてきた大熊一幸氏に、これからのエクステリア・デザインをどのように発展させることができるかを中心に、現在のエクステリアについて伺ってまいりました。

グランフェイス 大熊一幸氏 インタビュー

エクステリア・デザインをしていく上で軸にしている部分を教えてください。

大熊氏「意匠のないものは勿論だめですが、機能の伴わないものは、理にかないません。
これを踏まえて、仕上がりと施工の品質にこだわりをもち、細かいディテールまで追求しています。角のおさまり、モザイクタイルの割り付け等、どこまで追求できるかです。
そのためには、設計者が完成形を想定し下地の段階から寸法をおって計画し、それを施工店や職人さんに伝えなければなりません。完成イメージを下地の段階から理解している必要があります。植木の向きや庭石の配置まで図面に出来る、それが設計士です。建築の世界ではこれが当たり前ですが、エクステリア・デザインでは、現場での施工も含めてまだまだ難しいものがあります。」

現在のエクステリア・デザインの状況をどのように捉えていらっしゃいますか。

大熊氏「建物を活かすには、完成度の高いデザインのエクステリアがなくてはなりません。
エクステリアは、住宅の価値を決定します。提供しようとしています。エクステリア業界としても今何をすべきかを問われ見極め、しっかりと対応の出来る本物のデザイナーが必要となり求められる時代が来るかもしれません。
エクステリアに力を入れるといった場合、それはお金をかけるだけではなく、デザインにどれだけ力を投入できるかです。フォームの設計から始めるミニマムデザイン『土間コン・門袖(塗り物)・高木1株・芝生』という基本的な4つの要素で出来るデザインを構成する。難しいことですが、ぜひ学ぶべきです。」

グランフェイス 大熊一幸氏 インタビュー

そういった視点から考えることが出来る、エクステリアを担う人材にはどのような能力が必要でしょうか。

大熊氏「設計から始まり、仕上がりの品質まで、もっとこだわりをもったデザイナーが必要です。造園・植栽も知っているプロフェッショナルであり、さらにメーカーのもつ資材の知識も必要です。建物をより良く見せるには、インテリアや建築も知らなければいけない。エクステリア・デザイナーは、建築家と対等な立場となりチームとして組めるコンダクターレベルに達することが今後の課題でしょう。

しかも、エクステリア・デザインには教科書がないから、会社に入ってから勉強するしかありません。現場を理解し、そのうえで営業もできる力もいるでしょう。
勉強して得たことがあってこそ、この業界でやっていけるのです。エクステリア業界は今後、横に拡がるだけではなく上にも向かって引き上がり拡がっていくことが望ましいと思います。業界の枠の中で小さくまとまっているだけでは面白さも価値も拡がりませんから。」

職人不足も問題になっていますね。

大熊氏「多くのエクステリア・デザインの現場では、短工期である上、予算が付きにくい。このため、品質にこだわることが出来ないので、やりがいも少ないのです。
この職場を魅力あるものにするために、施工したことを自慢できるような現場をデザイナーが提供し、施工した職人をフィーチャーしてはどうかと考えています。こんな現場を施工できる職人さんがいるんだよ、と。これが業界に広がればいいのではないでしょうか。」

エクステリア・メーカーについてはいかがでしょうか。

大熊氏「エクステリアには、まだまだ無いものがたくさんあります。実際の現場をしっかりとリサーチして、選べる商品をもっと開発してほしい。現在チャレンジしていると思える素敵な商品もありますが、まだまだ過剰な部分も多くあるように感じます。建築にあってエクステリア業界にないものを生み出していくことや、テクスチャーに拘りシンプルで繊細なものに進化したものなどが増えると嬉しいと思う。」

これから作ってみたいもの、やってみたいことはありますか。

大熊氏「商業施設やマンションのランドスケープに興味があります。
個人住宅のエクステリアにはどうしても一定の制約がありますが、特に商業施設のランドスケープは、生活スタイルや機能性を超えたところで提案できることに魅力を感じます。マンションのCMでもランドスケープがクローズアップされていますよね。ここに住みたいと思わせる、個人の住宅でもそれは同じですが、そこに住む価値をデザインする大きな規模のエクステリア。いわゆるエクスケープデザインとして手掛けてみたいと考えています。」

長い時間、ありがとうございました。

所感
大熊代表は全国各地を飛び回り講演をされており、エクステリア業界全体の成長を考えておられる方でした。大熊代表が目指す、建物やインテリアと同等以上に「家の価値」を向上させるエクステリアデザイン。それを実践するために、常に努力し続ける姿勢がたいへん印象に残りました。
メーカーである我々トーシンコーポレーションも、そのようなエクステリアの役に立ち、お客様に喜んでいただける商品を作って参ります。

(聞き手 トーシンコーポレーション 手嶋 俊彦)

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